~手を合わせ、祈りを辿り、想いを届ける~

私たちがふとしたときにする「手を合わせる」という仕草。

お墓参りやお仏壇の前だけでなく、「いただきます」「ごちそうさま」…そんな日常の場面でも自然と行われています。

この仕草と合わせて、仏事の道具にも、長い歴史の中で受け継がれてきた想いや祈りが込められていることをご存じでしょうか。

地域によって伝えられ方は様々あるかと思いますが、北本市、鴻巣市、桶川市でも昔から引き継がれている思いがたくさんあるはずです。

今回は、身近にある仏事の道具や所作と合わせて、そこに込められた思いや意味を、一緒に辿ってみたいと思います。

◇数珠に込められた想い◇

数珠はお釈迦さまの時代に生まれたものといわれています。数珠の珠には、ひとつひとつ、私たちの思いや迷いを託す意味があり、仏様に心を寄せ、ご縁をつないでくれる大切なものです。

長い時代を経て、現在でも心を落ち着け仏様に想いを寄せる道具として、大切に受け継がれてきています。

また、珠を指でなぞることで気持ちを整える…そんな効果もあるのだそうです。

昔から「祈りの道具」として大切に受け継がれてきた数珠。手にするだけでスっと心が清らかに整う感覚を持つ方も多いのではないでしょうか。

北本セレモホールでも数珠の展示、販売をしております。もしもの時にはお声がけください。

◇お位牌とともに過ごす心◇

お位牌は、故人様のお名前を記し、仏様となられたその方を身近に感じられる大切なものです。

亡くなられた後も「ここに故人様がいてくださる」と思える“形”があることで、ご家族様の心の支えにもなります。お位牌を前に手を合わせると、言葉にはできない心の中の想いも受け止めてくれる気がします。

日々の暮らしの中でお位牌に向かう時間は、悲しみを和らげ、故人様に見守られているという安心感を得られる時間にもなります。

故人様がいつもそばにいてくれる、お位牌はそんなあたたかい気持ちを与えてくれる存在です。

※お位牌は決して必ずご準備をしなくてはならないものではありません。

ご準備をされるかされないか、ご家族様、皆さまでご相談されるのもよいかと思います。

◇ろうそくの灯りがつなぐ祈り◇

ろうそくは、周りを明るく照らすためだけの道具ではありません。小さくゆれる炎は、迷いや苦しみを抱える私たちの心を、やさしく仏様へ導いてくださる象徴とされています。

そしてこの“灯り”は、闇を払い人の心を落ち着かせる力があるといわれてきました。静かにゆれる炎を見ていると、自然と気持ちが静まり、故人様や仏様にあたたかく包みこまれている…そんな気持ちにもなります。

ろうそくに火を灯し、手を合わせる行いは、仏様に心を寄せ、故人様との思い出に明かりを灯し、大切に寄り添い続けている証といえるのではないでしょうか。

◇心に響くお念仏や読経の声◇

葬儀や法要など、仏様に手を合わせるときに耳にする「お念仏」や「読経」。

お念仏や読経は”耳から心に届く”大切な祈りの言葉。一見すると同じように思われがちですが、それぞれ少しずつ違った意味があります。

お念仏――「南無阿弥陀仏」と声に出して唱えることをいいます。

仏様にお声が届くように、仏様を呼ぶように唱えることで、「ありがとう」という感謝や「どうぞ見守ってください」という願いを届けるとされております。

読経――「般若心経」や「法華経」など、お釈迦様の教えが記されたお経を声に出して読むことです。

ひとつひとつの言葉は難しくても、お念仏や読経に込められているのは、大切な人を想い寄り添う心。

気持ちを落ち着けて唱えることで、悲しみの中にもやさしいぬくもりを感じられるのではないでしょうか。

◇お線香のやさしい役目◇

お線香の煙は天へと昇り、故人様に届くといわれています。香りには邪気を払う意味もあり、優しく漂う香煙に心が落ち着くのは、そんな意味や役目から感じられるものなのかもしれません。

香りは目に見えないけれど、香煙は、

私たちの祈りや感謝の気持ちをそっと仏様へ届けてくれるやさしい架け橋

という仏教の教えもございます。

少しお時間にゆとりがございましたら、ゆっくりと、いつもより時間をかけて、立ち上る香煙を眺めながら、故人様とお話するのもよいのではないでしょうか。

~受け継がれる思い~

こうした道具の意味や受け継がれる思い、伝えられ方は、宗派や地域によって少しずつ違いがあるかもしれません。

ここ北本市、鴻巣市、桶川市でも様々な宗派のお話、それぞれ違った思いの届け方を目にしたり、聞いたりすることもございます。

近年では、家族葬・一般葬・直葬と、葬儀の形も様々、行われ方も昔と変わってくることが多くなりました。

お位牌の在り方や祈り方なども、ご家族様にあった形を選べるようになってきました。

しかし、数珠を手にし、ろうそくに火を灯し、お線香を手向け、ゆっくりと手を合わせる…

昔から行われ自然と受け継がれてきたこの仕草さや込められる想いは、変わらずに、忘れずに、これからも受け継がれていくものではないでしょうか。

そしてその祈りの先には、心安らぐ故人様との想い出があり、あたたかく受け止め包んでくださる仏様がおられるはずです。

北本セレモホール、鴻巣セレモホールでも、数珠やお線香、ろうそくなどのご準備がございます。何か必要な時にはお気軽にお声がけください。

また一緒に寄り添えるようなお話を載せていければと思います。