~お焼香回数の意味と宗派のおしえ~

以前、仏式のお話をさせていただいた回では、よくご質問されることの一つとして「お焼香の回数」をお伝えいたしました。お焼香回数には宗派ごとにその意味合いが異なり、そこにはそれぞれの教えや歴史が込められています。今回は北本市、鴻巣市、桶川市でよく知られている八つの宗派についてその意味を少しずつご紹介していきますね。諸説ございますので「そんな意味があるんだ~」というくらいでかまいません。皆様の心にちょっとだけ留めていただけたら幸いです。

◎お焼香回数とそれぞれの意味◎

※はじめに「三宝」とは?※

仏教では「大切にすべき3つの宝」があり、これを「三宝(さんぼう)」と呼びます。

一つ、「仏(ぶつ)」手本となる仏様

二つ、「法(ほう)」仏さまの教え

三つ、「僧(そう)」教えを説くお坊さんや仏教徒

■ 真言宗■お焼香は 3回。

これは「仏・法・僧」を 信じて歩む心を表しています。

真言宗は空海(くうかい)(弘法大師・こうほうだいじ)によって広められた宗派で、香の清らかな煙は「大日如来(だいにちにょらい)の導きの光」というお考えがあります。香をたむけることは心身を清め、仏様に近づく祈りの行いでございます。

■ 天台宗■お焼香は 1~3回。

天台宗は、比叡山延暦寺を開いた最澄(さいちょう)によって伝えられた宗派です。お焼香の回数に厳密な決まりはなく、1回から3回とされています。三宝を大切にすることから3回と定めるお寺もありますが、大事にしていることは回数よりも“真心”です。天台宗で大切にされている「一隅(いちぐう)を照らす」という言葉には、「自分の今いる場所で心を尽くせばその祈りは必ず仏様に届く」という意味があります。たとえ1回のお焼香でも、心を込めれば十分というお考えでございます。

■ 曹洞宗■お焼香は 2回。

1回目は主香(しゅこう)と呼び故人様への供養になる香です。2回目は従香(じゅうこう)と呼び、自らの心を清めるためと、主香の香りが消えないよう助けるために添える香でもあります。

曹洞宗は道元(どうげん)によって広められ「ただひたすらに座り祈る」ことを重んじられています。香の煙もまた、余計な思いを手放し、静けさに心を澄ませるための大事な役割の一つとされております。

■ 臨済宗■お焼香は 1回。

「一心に祈る」という禅の精神に基づき、深く祈ることを重んじて行われます。

臨済宗は栄西(えいさい・ようさいの二通り)によって伝えられ、座禅を通して悟り祈ることを重視されております。形式よりも心のあり方を一番にという教えのもと、潔く、一心に、ただ一度だけでも、香を手向け祈ることが大事という教えのもとでございます。

■ 浄土宗■お焼香は 1~3回。

「南無阿弥陀仏」と優しくゆっくり唱えながら行います。

法然上人(ほうねんしょうにん)によって開かれた浄土宗は、念仏を唱えることで阿弥陀仏の極楽浄土に生まれ変わることを願うとされています。香の煙は、極楽浄土へとつながる橋というお考えもあり、橋が架かるようゆっくりと「南無阿弥陀仏」と唱えて香を焚かれます。

■ 日蓮宗■お焼香は 1~3回。

日蓮宗は「南無妙法蓮華経」というお題目を唱えながら行います。

日蓮聖人(にちれんしょうにん)によって広められた宗派で、「法華経こそが真実の教え」と説かれています。形式よりも誠実な心で唱え、祈りを香に込めることを大事とされております。

■ 浄土真宗(本願寺派)■お焼香は 1回。

香は故人様へのご供養ではなく、阿弥陀如来様に手向けるものとされています。

親鸞聖人(しんらんしょうにん)によって広まった浄土真宗は、「阿弥陀如来様の大きな慈しみの中に抱かれる」という教えのもと、一念に信じることで迷わず阿弥陀如来様のもとへ導かれ生まれ変われるという教えのもとでございます。

■ 浄土真宗(大谷派)■お焼香は 2回。

1回は仏様に向けて、2回目は身を清めるためのものと教えられています。阿弥陀如来様の前に心静かに香をたむけ、全てを仏様にお任せし、委ね、迷うことなく成仏できますよう祈ることが大事とされております。


こうして見てみると、宗派によって回数や意味、唱え方もそれぞれ違いますが、共通していることは「香の煙に祈りをのせ、仏様へ、そして故人様へ思いを届ける」ということ。

香りには形がなく、目にも見えません。けれど仏様や故人様だけではなく、自分自身の心にも届き、祈りの空間をやさしく包んでくれるものです。香りとともに祈るその時間が、きっと故人様と私たちをゆっくりと繋いでくれるはずです。

形式や回数を知っておくことはマナーとして大事なことではありますが、万が一、忘れてしまったり覚えられなかったりしても、「ありがとう」「どうぞ安らかに」というお気持ちを込めることは、決して忘れないでください。

お焼香の作法に迷われた時は、お近しい方々でご確認いただいても良いですし、会場のスタッフにお聞きいただいても大丈夫です。不安で戸惑ってしまう前に遠慮なくお声がけください。安心し、落ち着いて手を合わせていただけるようお手伝いいたします。

セレモ有限会社では「家族葬」「一般葬「直葬」「一日葬」などお客様のお気持ちに寄り添いながら葬儀のご相談を承っております。その他にも法事のご相談、何かお困り事、不安な事などがございましたら北本セレモホール、鴻巣セレモホール、どちらでもご遠慮なくお話を聞かせてください。

少しでも皆様の毎日が、不安なく過ごせますようにお手伝いさせていただきます。